伊方原発再稼働を許さない7.22高知集会 基調提案
私たちは、ここに、この国のすべての原発をなくすことを願って集まりました。3.11福島第一原発事故により、30種類を超える放射性物質は、世界中に拡散してしまいました。世界中の人々に対し、地球上のありとあらゆる生き物に対して、この国のおかした過ちをつぐなうために、私たちにできることは、一刻も早く原発をとめることです。主権をもつ国民の一人ひとりとして、この国の政府に、はっきり「否!」と意思を表明することです。あれだけの事故を起こしながら、これ以上、原発を動かしてはならないからです。
大飯原発は、 経済界の強引な圧力に屈した関西広域連合の地元合意により、また、財界の操り人形にすぎない野田首相ら無責任な政府により、7月に入ってから3号機、4号機ともにあいついで再稼働してしまいました。
しかし、大多数の国民の声を無視した政府のやりかたに、国民の怒りはこれまでになく急激にふくれあがり、首相官邸前はじめ全国津々浦々で抗議の声は、日増しに大きなうねりとなって高まっています。6月15日は1万2千人、6月22日は4万5千人、6月29日には20万人もの人々が首相官邸前と霞ヶ関一帯の道路を占拠するまでの勢いとなり、2時間にわたって「再稼働反対!」「再稼働反対!」と叫びつづけました。7月20日は、鳩山元首相も登場「政治と国民の声があまりにかけ離れていて、残念でならない」とスピーチしました。
一方、6月17日の福井集会は3000人が集まり、85人以上もの人が1分間スピーチをして、怒りの中にも連帯の笑顔があふれ、福井式リレートークとして有名になりました。また、6月30日には、大飯原発ゲート前道路でも、必死の想いで再稼働をとめようとする500人の人々が、機動隊の壁と対峙する抵抗運動が夜通し続きました。
そして、7月16日、代々木公園周辺には全国から17万人が結集。大江健三郎さんが「原発事故がなお続く中で、大飯原発を再稼働させた政府に私らは今、侮辱されていると感じる。政府のもくろみを打ち倒さなければならない」とスピーチ、デモの3つの巨大な隊列は都心へと向かいました。
政治には無関心で おとなしいといわれてきた日本人が、ここまで大きな憤りのうねりを見せているのは、画期的なできごとだと思います。
さて、次に狙われるのは、政府が決めた身勝手で欺瞞に満ちた再稼働へのプロセスが最も進んでいる、伊方原発です。しかし、私たちは伊方原発の再稼働は絶対にさせません。
高知県は、伊方原発から50km圏内に四万十市、梼原町、120km圏内に高知市、300km圏内に室戸市があり、原発事故時に北西の風が吹けば、風下の高知県全体がたちまち放射能汚染に曝されます。
なぜ、 誰も3.11の責任をとらず、事故原因の糾明もできず、何の後始末もできないうちに、何事もなかったかのように政府は再稼働を進めるのでしょうか。 私たち風下住民は怒りに震えます。いま、日本列島は、100年に1度、1000年に1度の地震の活動期に遭遇しているのです。
なぜ、ふくいちからの放射能汚染情報を政府は隠したのでしょうか。放射能汚染に曝された福島県や関東地方では、すでに深刻な健康被害が始まっています。ふるさとを奪われ、人生を奪われたひとびとの絶望と悲嘆が、賠償金であがなえるはずはありません。過酷事故を想定せず、何ら対策を講じてこなかった政府や東電の倫理的責任は途方もなく重いのです。
なぜ、主権在民の法治国家のはずのこの国で、 多くの人々が危惧をもつ、愚かな原子力政策が息を吹き返そうとするのでしょうか。私たちは、政府、財界、報道など、原子力利権共同体のやり方には我慢がなりません。これはまるで、無謀な権力者が、戦争に突き進んだ結果、敗北に至り、国民が辛酸をなめた時代に酷似していないでしょうか。
原発をなくす闘いは、一握りの富裕層の思惑によってあやつられた政界、財界との闘いであり、その根っこは、対米従属の国家体制にあることを見逃してはなりません。原発をなくす闘いは、沖縄から基地をなくし、オスプレイの配備を拒絶し、TPPへの道を拒む闘いと、本質的におなじだということを忘れてはなりません。
みなさん、私たちは、大飯原発の再稼働をやめさせ、伊方原発の再稼働をさせないことを強く求めていきましょう。主権者たる国民として、原子力政策の撤回を要求していきましょう。私たちは、怒りの声をあげようと ここに集った仲間たちとともに、地震列島からすべての原発をなくすまで、これからも 粘り強く行動をつみかさねていきましょう。
〈文責:外京〉